05551-190630 授業中に学生が発言した回数をカウントする方法
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授業中の発言回数を「平常点」として成績に反映していると、他大学の先生から「どうやって発言回数をカウントしているのですか?」というご質問をいただきます。具体的に紹介しましょう。
shio.iconの授業の場合、大教室授業における成績評価方法は、期末試験の点数と平常点、1:1です。平常点は発言回数です。挙手して指されて発言した場合に「1回=1点」と数えます。内容を問わず、1回=1点です。
期末試験は論述式の答案を単純加点法で採点します。満点はありません。「100点満点」という発想は「減点法」の発想です。学生たちの能力は無限ですから、上限を確定することはできません。単純加点法で採点しますので、点数は青天井であり、できる学生の答案は200点近くなります。また発言回数も青天井ですから、半期15回(30コマ)で200点を超える学生もいます。
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授業中、shio.iconは、挙手していない学生を絶対に当てません。そもそも挙手する学生が多すぎて指しきれないほどですから、わざわざ挙手していない学生に発言を求める必要もないし、余裕もないのです。挙手していない学生、つまり発言したいと思っていない学生に発言を求めるようなことをすると、学生たちは萎縮し、教室から足が遠のきます。そんなことは授業運営としてまったく望ましくない。だから絶対に、挙手していない学生を当てることはありません。
挙手がなければ、その学生たちに対して問い方が不適切だったわけですから、問い方を変えます。つまり挙手がないのは教員側の責任です。問いを変え、問い方を変えることで、意見を述べたくなる、発言したくなる、挙手したくなるよう、働きかけます。学生たちが「言わずにはいられない」ような問いを立てるのです。問いこそすべて。それが「学問」。「学」を「問う」のが学問ですから、いかにしてスマートな問いを立てるかが、研究者でもある教員の力量にかかっており、授業を運営するファシリテイタとしての責任です。
幸い、shio.iconの授業に参加している学生たちは、率先して挙手する。多すぎて、その全員に発言の機会を設けられないほどなのが悩ましい。問えばどんどん手が上がる。実質的な発言が相次ぐ。深く感心する発言もある。ぶっ飛んだ発言もある。めっちゃ面白い。学生同士も、「そうか、ああいう考え方もあるのか」と、多様性を実感する。自由の最大化と多様性の尊重こそが法律の目的だから、教室の中に法律の価値観をそのまま再現することこそ、法律学の授業として理想的だと思います。
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ではどのようにその発言回数をカウントするか。
自己申告です。毎回学生たちが授業終了時に提出する「オピニオンペーパー」の上部に、発言ごとに正の字を書いてゆき、授業終了時に算用数字に直し、その右に前回までの発言回数と今回までのトータルを加算式として記述します。例えば本日5回発言し、前回までに7回発言していたとすると、
正 5+7=12
と書くことになります。次回はまた次回の発言回数に12回を足して、トータル発言回数を算出。それを毎回の授業で繰り返せば、学生たちは常に自分が獲得している平常点を把握でき、最終回には最終的に取得できる平常点が明白です。shio.iconはすべてのオピニオンペーパーにコメントを書いてからScanSnapでスキャンして、次週の冒頭で返却していますので、記録として手元に残ります。 https://gyazo.com/3cd950feef1a0c27c3c6ca03d511b2bc https://gyazo.com/e23c43288cc14f6c8365ec68bfab8af3
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このような話をすると決まって「不正はないのですか」とのご質問をいただきます。shio.iconは第1回の授業で、成績評価について説明をする際、上記の方法を述べるとともに、民法第1条第2項を学生たちとともに読みます。「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」。そのうえで、これは民法の授業ですのでshio.iconは学生たちを信頼しております、と告げます。
教員は全履修者の顔写真をクラウド上で閲覧できますので、提出された発言回数に疑義があれば、顔写真をチェックして本当に当該学生がその回数発言しているか、確認することができます。不正があれば「0」点として扱えばいい。簡単です。幸い、不正はほぼありません。
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期末試験の採点時、まずクラウドから学生たちの出席回数データをダウンロードし、出席率が2/3に満たない者に機械的に「F」(単位不取得)をつけます(出席は毎回、教室の端末に学生たちが学生証をかざすことによってカウントされています)。次にF以外の者について、オピニオンペーパーから発言回数を入力し、期末試験を採点してその点数を入力して、両者を加算し、合計点でソートして、上からS、A、B、Cの成績をつけて、成績登録データベースに登録すれば完了。実際にはもう少し細かい作業をしていますが、大枠、こんな感じです。
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